恋花よ、咲け。
だけど 何も言わずにぎゅっと胸に
封じ込めるんだ。
「じゃあ バイバーイ♪」
その瞬間が 終わるまで。
「あぁ また明日。」
奈穂が家の中に入ると
自分がすごく疲れていることに気づく。
俺らは俺らでそれなりに
幸せだったんだよな。
電車を降りて 最寄りのバス停へと向かう途中
珍しく 奈穂以外からの着信があった。
>>着信中 冨山 舞未(とみやま まみ)
「っえ 舞未!?」
口に出したから 周りの人が
チラチラとこちらを見てくる。
ぅぅう……。
通話ボタンを押すと 懐かしい声が聞こえた。
「もしもし。」
「…っぁ 健吾……だよね?
私だよ 舞未だよ。」
何かヒソヒソと 焦るような声に聞こえた。
「どうした?」
「…えと……。」
バス停で 次のバスの時間を確かめる。
まだ時間あるな。
「…高木奈穂。」
………っっ!!
今なんて? アイツ 奈穂のこと知ってんのか?
「そんなに可愛いかな?」