恋花よ、咲け。
「……何だよ。」
用件なんて分かりきっているのに
敢えてそう冷たく言った。
「…話さないか、少し。」
「……そうだな。」
健吾はお人好しだな。
俺に いい人に近づくチャンスをくれる。
「俺さ、もう止めらんないんだ。
止める必要もないと思うよ。
だから 弘也には遠慮しないよ。
今はどう考えても 俺の方が近い。
…そうだろ?
…………。
何か 話があるんじゃないのか。」
遠回しに言うのをやめて
健吾はまっすぐな言葉を選んだ。
「あぁ。 あるさ、山ほど。」
深い深呼吸をする。
「……俺は 高木が好きだ。」
弘也は健吾から目を離さずに続ける。
「…お前を傷つけまいとして
今まで黙ってきたけど そうすると
余計胸が痛むんだ。
初めてだこんな気持ち。
……負けてしまいそうで不安なんだ。
今にでも 高木がもっと遠くに
消えてしまいそうで 不安なんだ。
今までは違っただろ?
もっと欲張って 欲しいもん奪ってた。
でも今は その欲すら沸かない。
……初めは 何でか分からず
気にもしなかったよ。
でも 気づいたんだ。
…俺はそれくらい
高木を大切にしたいんだ。
少し触れるだけで砕け散るように
繊細で 儚いこの想いを 大切にしたい。
まぁ そのせいで
高木に近付けずに うずうずしてるんだが…。
……なぁ健吾。
正々堂々と 勝負しないか。
前みたいな事はもうしない。
決めるのは高木だからな。」