恋花よ、咲け。




にっと笑った健吾が 拳をつき出す。


「正々堂々には 賛成しないな。

…ズルいことは させてもらうよ。」


弘也も応えるように拳を合わせる。


「…なんだ健吾。
俺の正々堂々は そういうことも込みだぞ?」


なんだか やっと心が晴れたみたいだ。


あとは、大きくて沢山の水溜まりが
乾くのを待つのみだ。


今までのモヤモヤが消える。


イライラも 全て無かった事になる。


が、そんなのも束の間だった。


言わなくちゃならないと、弘也が決めたから。


「俺今まではきっと
本当の好きじゃなかったんだよ。」


健吾はばっと目を見開く。


「……は?」


「…高木を好きになって気づいた。
本当に好きになったら 余裕なんてない。

……本当に すまなかった。
手に入れたかったんだよ、ただ。
今さら何だって言うかもしれないけど
本当にすまなかった。」


健吾に向かって頭を下げる。


健吾はおろおろしつつも
弘也の言葉をしっかりと聞いていた。


そしてそっと口を開く。


「……そんな、余計許せないよ。
好きじゃなかっただなんて。
それじゃ俺は 何で奪われたんだ。
何でフラれたんだ。
……だからお前はすぐフったのか?」




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