《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
「お前には本当に毒だ…。花奏の血は確かに…極上の味で…それ故に、麻薬のようだ。お前には彼女の血の誘惑には勝てない」



「気が弱いと言いたいのですね。兄上…だから僕は新薬を飲み、始祖の紅鬼の力を開花させました」



始祖の紅鬼の力?

不穏な響きに俺は眉を顰めた。



「あなたには負けませんよ…兄上」


俺を挑発するような滋弥の視線。


幼い頃はいじめられっ子でいつも、俺に泣きついていた。

俺はそんな滋弥が可愛くて、いじめた連中に仕返しを繰り返した。



気の弱い滋弥は直ぐに吸血衝動に負け、吸血行為を行うようになった。
そして、狂い、父上によって人里離れた場所に幽閉。



俺に挑戦的な態度を取れる程、強くなり回復の兆しを見せるとは頼もしくもあるが、妙な胸騒ぎがした。


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