《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
「妃女神ちゃん…我儘言ったら、ダメだよ!父上は優しそうに見えるけど実は怖いんだから…」



爽爾君は天狐である父親の力を引き合いに出して、私を脅す。



「・・・」


「俺だって…父上には敵わないんだから~」


爽爾君は九尾の尻尾を振りながら、私の前の椅子に座った。


「尻尾はこの通り、父上と同じで立派だけど。力はまだまだ。兄上たちと何かと比べられて、俺も辛い」
爽爾君は耳を垂れさせ、私の苦しい胸の内を吐露した。


「お兄さんがいるんだ…」


「まぁね…金狐と銀狐…知ってるでしょ?」


「うん…私も辛い…」


「えっ?」


「知弥のようなエリートな陰陽師を夫にもらったのはいいけど。私は気が強いだけが取り柄の半人前の陰陽師でさ…」


「そうか~」


二人でしみじみと互いの境遇を語り合い、慰め合った。

本音をぶっちゃける相手を間違ってるような気もするけど。私と立場の似た爽爾君なら、理解してくれると思った。


「変な子だね…妃女神ちゃん」





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