《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
母上は己の言いたいコトを言って、踵を返して、部屋を出て行った。


相変わらず、息子の俺には無関心なお人だ。


俺に『紅月』の覚醒を念押ししたかっただけ。まぁー天狐に勝つには俺自身は複雑な感情が残るが、母上の言う通り、その方法しかない。



俺は無意識に溜息を吐く。



「そんなに嫌ですか?鬼の力を覚醒させるのは」


既に鬼の力を覚醒させ、滋弥は紅鬼の魂を持つ『朱月』と躰を共有し、強くなった。


俺の知る狂った過去の滋弥の姿等、微塵も感じさせない。


「強い兄上だからこそ、そう思うんでしょうね~」


「別に…そんなんじゃない」


「無敵の兄上を瀕死の傷を負わせるとは天狐の力も強大ですね…僕と共に『紅月』の力を使えば…天狐だって倒せます」


「母上の差し金か?」


貪欲に欲望に滾らせた滋弥の瞳。俺と同じ紫色の瞳なのに色を深く濃くしてゆく。











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