《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
23歳。


陰と陽の世界に興味をそそられながらも、夜毎の逢瀬には余念がない。


しかし、いつまでも夜毎の逢瀬にうつつを抜かし、身を固めず、フラフラしてると、京中にあらぬ噂を流されてしまう。


俺は微妙な歳に差し掛かっていた。


父の薦める縁談は高貴な姫君ばかりであるが、俺は心から求める女人等一人もいなかった。


父の薦める姫君と婚姻すれば、永遠に父の手駒にされそうで、嫌だ。


しかし、夜毎求める逢瀬の相手に俺の心を掴んで離さない女もいなかった。



弟・滋貴(シゲタカ)と満ちた月を眺め、酒を酌み交わした時。


「私には恋焦がれる姫がいます。兄上」


滋貴が呟いた。





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