《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
私は爽爾君の手引きで、牢獄から脱出。


空には円くなりかけの白い月は優しい光を私たちに注ぐ。



牢獄の窓から鉄格子越しに見ていた月が、はっきりと見え、私に心に幾何か安堵のキモチが湧き上がった。



「早く!!」


爽爾君が自分の後方を走る,私のもどかしく思い、そっと手を差し出し掴んだ。



鬱蒼と茂った林の中に身を屈めながら、必死に駆ける。



「何をしてる?」


「父上!!?」


私たちの目の前に、天狐が姿を現した。



「爽爾お前…妖狐族を裏切るつもりか?」


「それは・・・」


天狐の大声が林の茂みを大きく揺らし、ざわつきを起こす。


静かな森の夜を壊す天狐の迫力のある声。


さっきまで威勢のよかった爽爾君だけど、天狐に叱られて、耳は垂れ下がり、しゅんとなってしまった。


元気のなくなった爽爾君を更に、追い詰める天狐。



「私…牢獄に戻ります!!」


「妃女神ちゃん?」




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