《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
無秩序には流れていない常に清浄に保たれたこの庁の中の気。
平安の世から続く陰陽の世界の中に俺たちは囚われていた。


「小笠原知弥です」


「入れ」


「失礼します」


俺は秘書がドアを開けるタイミングで、長官室の中に。



「傷は大丈夫なのか?」


「はい…」


「さすがは鬼と人のハーフだな。回復が早い…」


「智成様?」


今流行のツーブロックヘアで毛先を軽く遊ばせた黒髪に淡いブルーのシャツとオシャレなネクタイ。智成様の目立ったファッションは周囲の古株たちには不評だが、本人は全く無視聞く耳も持たない、堂々となる態度で自身の立場を誇示していた。
実力はまだ、未知数。


俺の正体を知ってるなんて…俺はチラリと滋弥を見た。


「智成様には母上が正体を明かしました…もともと、帝様の命の『妖退治』は失敗は許されない。もう一度、チャンスを頂けるようにと母上の計らいです」


「・・・」


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