《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
別人とキスしてるみたいで変な気分。


でも、目の前にはいるのは確かに知弥。



キスの味は違ったけど、首筋に這わすその仕草はいつもと変わらない。



皮膚の薄い首筋に這う知弥の唇が擽ったい。


そのまま、牙を立て吸血するのかと思ったけど。


唇で軽く吸い上げて、赤い刻印を残すだけに終わった。



「吸わないの?」



「吸わない…」


知弥はポツリと呟くと私を強く抱き締めた。


「少し怖い…」



「えっ?」

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