《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
躰が急に一人で動き、強い力で壁に押し付けられた。



金縛りあったように、全身が私の意志で動かない。



「やはり、お前の気は弱いな。俺の力を撥ね除ける力がないのか?」


先生が私の前に近づく。

私の顔を挟むように両手を壁に押し付ける。



「その怯えた顔…可愛いぜ。まるで兎だな」


くぐもった小笠原先生の声が鼓膜を擽る。

紫色の瞳に宿る妖艶な影。


「恋、したことないんなら、俺がじっくりと課外授業で教えてやる…専門外だけど、嫌じゃない」



「離れろっ!!!」


私の渾身の力でも、動かなった躰が急に解放された。





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