《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
「フッ…お前はそうやって、毎日、百面相して俺を飽きさせない。もっと違う表情が見たいと俺に思わせる」



人を小馬鹿にした口調。私は拗ねて頬を膨らませる。



「ぷっ」
知弥は珍しく、吹き出し笑い。


「もっと、艶のある顔を見せろ…そうでなきゃ、浮気するぞ」



「艶のある顔ってどんな顔よ!?」


「そうだな…強いて言えば・・・こんな顔だ…」


知弥は私に近づき、頬を優しく包む。


先生と生徒の距離じゃない恋人の距離。


唇を深く重ねて来る。


「んっ…」


自分の声とは思えない色っぽい声が紡がれるキスの間から漏れた。





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