《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
「まぁーこんなもんだろう…」


知弥は一人で頷き、納得している。私にはさっぱり見えない。
私は恥ずかしいけど、上着のポケットからコンパクトミラーを取り出して、自分の顔を覗き見る。


妙にテレくさそうな表情。


背後から知弥が抱きついてくる。


「ち、ちょっと!?」
そして、不埒に胸元に手を伸ばした。

私は思いっきり、手の甲を抓った。


「お前は凶暴だな?」


知弥は私に抓られた手の甲を摩りながら、退散。



「変なトコ、触るから悪いの…」


「ちょっとした予行練習だ…先が思いやられるな」




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