坂田家の日常
母さんの言葉で一気に距離を積めてきた雨宮奏世は、ちゃっかりと俺の隣りに来ている。
「行こ、尚斗君!!」
「ちょっ……」
なんで俺が、と言う前に玄関に引っ張られる。
マジうぜぇ……。
「お前、この前俺が言った事、忘れてたのかよ!!」
「この前? あぁ、あれね」
「いい加減にしろ!!」
「いい加減にしないもん!!」
「はぁ!?」
「あたしだって、いろいろ考えたんだもん!!」
「―――っ」
珍しく声を張り上げたと思った。
少し泣いてる……?
「お前……」
「ショックだったんだよ」