坂田家の日常
床から立ち上がった兄貴は、カンナの手をとる。
「母さん、今日はもう無理だ」
「そうね…。また今度にしましょうか」
「奈緒美がいない日な」
「そうね…。緩南さん、ごめんなさい…」
「あ、あたしは大丈夫ですっ…」
兄貴とカンナが家を出ていったのを見計らい、俺は片付けをする。
あの二人が暴れた場所は、グチャグチャだ。
「でも直樹兄、なんで緩南さんにこだわるのかな?」
「ん?」
「だって、AV女優だって聞いても、あんまり動じなかったし……」
「確かにな」
自分の女がAV女優だと知って、それでも結婚したいと願う兄貴。