坂田家の日常
今、一瞬考えたな。
菜緒子がどんな姿なのか、考えたな。
「……ったく、暇だからいいよ」
何で俺にはこんな役回りしか回ってこねぇのかな……。
「メガネは?」
「はい!!」
「…………」
「なあに?」
「帽子、深く被っとけよ」
「うんっ!!」
コイツが一番楽しんでるじゃねぇか。
髪の毛はドライヤーがないからセットできないので、とりあえず顔が隠れやすいようにクシで整える。
「なんかさ、いつもの尚斗兄にメガネかけただけになったね」
「…………」
……仕方あるまい。