坂田家の日常
雨宮奏世を知らない奴なんかいない。
だからバレたら大騒ぎになるってわかってたのに、セージのせいで……。
「あちゃー…」
あちゃー、じゃねぇから!!
「尚斗兄…」
「はぁ〜…。逃げるぞ」
割れたメガネは仕方あるまい。
とりあえず大騒ぎがひどくなる前にこの場から逃げるのが先決。
「セージ、二人を屋上に連れてけ」
「お、おう」
俺は菜緒子のもとに向かう。
あいつなら、変装道具をいろいろ持ち歩いてるだろうし。
「菜緒子っ」
「尚斗兄!?どうしたのっ!?」
「ちょっと頼みを聞いてくれ、」