坂田家の日常



姉貴に一度でも捕まったら、離される気がしない。



姉貴は歌うわけでもなく、ただじっと、隣りの部屋との壁に耳をあててるだけ。



「姉貴、何してんの?」

「静かにしろ」

「…………」



見るからに不審者だぞ……。



「あ、奈緒美さん!!隣りから喘ぎ声聞こえてきませんでしたか!?」



「―――――――」




姉貴の表情は変わらなかった。



だけど何かが起きた。



確実に起きた。




「(セージ、バカ野郎!!)」

「(お、俺っ!?)」


「…………チッ」



舌打ちっ!?



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