坂田家の日常
俺が瞬きを一回するのより、姉貴の動作が速かった。
『奈緒美さんっ!!』
『奈緒美センパイ!!』
『奈緒美ちゃん!!』
こんな大勢の中、姉貴が何かをすれば周りが騒ぐ。
そんな事を一々気にしない姉貴はと言うと、女の子の胸ぐらを掴んでる。
「姉貴っ!!」
騒がしくなったから俺の声が聞こえてるのかわからないけど、これは本気でヤバい。
「てめぇ……」
「きゃっ…!?」
大きく振り上げた姉貴の腕は、幹部らしい人に止められた。
「離せっ!!」
「奈緒美ちゃん、落ち着いてっ…」
「離せって、言ってんだろうが!!」