坂田家の日常
そうそう、と俺が頷くと、雨宮奏世は掴む腕を離した。
「尚斗兄、明日卒業式なんで、家族みんなで外食するんです」
「卒業式は明日なんでしょ?明日じゃダメなの?」
「明日はクラスメイトと遊ぶ約束してんだよ」
「なら仕方ないや」
さすがに今日来るのは諦めたようだ。
「お前も明日卒業式だろ、」
「んー…。高校あんまり通ってなかったからなー…。保健室の先生との思い出しかないや」
「…………」
不真面目な奴だな。
それから雨宮奏世に無理矢理ひき止められて、ようやく帰らせてもらった時にはすでに夕方になっていた。