坂田家の日常
一向におさまる気配のない雨と、ジメジメ湿った教室。
「俺、帰るわ」
「裏切んのか尚斗!?」
「裏切るもなにも……。どうせ濡れるんなら、早く帰ってシャワー浴びる」
「じ、じゃあ俺も帰る!!」
セージは一人でいるのが嫌なんだろう……。
「――あ、ちょっと」
ケータイを見ると、ちょうど電話がかかってきた。
「――どうした?」
『尚斗兄?俺だけど――』
「どうした尚也?」
『今、尚斗兄の高校の近くにいんだけど、尚斗兄はもう帰った?』
「まだ。今から帰ろうとしてたところ」
『じゃあちょっと待ってて。迎えに行くよ!!』