坂田家の日常
「あんたの夢ってのは、一回でダメになるような事なのかよ」
「姉貴……」
「……奈緒美姉にはわからないよ」
「あぁ、確かに。でもあんたのせいで、家中が湿ってるの。ただでさえ梅雨なのに」
「…………」
「あたしが帰って来てるんだから、ちゃんとしてくんない?」
姉貴……。
それは自分の都合じゃんかよ……。
「あたしからは以上」
「――は?」
姉貴は立ち上がり、ドアを開ける。
「あぁ…そうそう」
「……?」
「簡単に叶うような夢なら、あたしは面白味がないと思うけど」
「じゃあ、奈緒美姉の夢って何なんだよ……」