妄想LOVER
はじめまして。こんにちわ。



私には困った“癖”がある。





一人で映画を観に行った帰り。

電車に揺られながら、今日観た映画のことを反芻していた。



『はぁ…リチャード(映画主人公)かっこよかった…。
クリスティーナ(映画ヒロイン)も可愛くて、ボンキュッボンのナイスボデーで…ぐえへへへ。』


私の顔は周りが引くほどに気持ち悪かったことだろう。



内容を思い出してニヤニヤニタニタしていた私の耳に、近くにいたJKの会話が入ってきた。



「『リチャード(32歳)の初恋』めっちゃウケたー」


「ね!リチャード、イケメンのくせにヘタレなんがツボった!」


恐らく、偶然にも私と同じ映画を観た帰りであろうJKたち。



「でもさ、クリスティーナの幼なじみの…ビリーだっけ?あいつの存在必要?見ててイライラしたんだけど!」


「私も思ったー!出すならしっかり邪魔するとか、悪役っぽいことすれば良いのにー。」


「そうそうー!どうせなら結婚式の時に乱入してぶち壊すくらいして欲しかったわー!」


「リエ(JK①)入り込みすぎー!ウケるー!」




そう。JKはよく分かっていらっしゃる。


ビリーの存在価値は全く見いだされなかった。
この映画で唯一残念だった点だ。


結婚式に乱入しろと言ったリエちゃん。


私なら…私なら……



ビリーをリチャードの親友にして三角関係。
ビリーはクリスティーナとも仲が良くて、リチャードとケンカするたびにビリーに泣きついてくる彼女に、自分の気持ちと親友への思いに悩むビリー。
リチャードも薄々気付いて危機感を持つ。
イライラするリチャード。八つ当たりしてケンカが増え、そのたびにビリーに泣きつくクリスティーナ。負のスパイラル。
ビリーはあまりの苦しさにリチャードに告白。「もうクリスティーナのことほっとけない!クリスティーナを奪う!」
憤るリチャード。ビリーと殴り合いのケンカに。
駆け付けるクリスティーナ。「ケンカしないでぇぇぇ!」
ビリーの優しさに甘えていたことを反省するクリスティーナ。
改めてクリスティーナへの愛を感じるリチャード。
リチャードに恋するクリスティーナが好きだったことに気づくビリー。
「それでこそ、俺の大好きな二人だ!キラッ」
「ビリー、すまなかった。」
「いいんだ!これからも仲良くやろうぜ!あぁ彼女欲しいなー…」
そんなビリーを木の影から見守るエミリー(クリスティーナ妹)が……




「ねぇ、リエ。隣の人怪しくない?」

「…だよね。さっきからニヤニヤしながらブツブツ言っててチョー怖い。」



そんな会話が聞こえて私の思考は停止する。




あぁ…やっちまった…。



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