妄想LOVER

誰ですか?

垂れた涎を拭きながら美声のした方を振り向くと…
長身の男の人が立っていた。



「セイちゃん!セイちゃん!イケメン!イケメンがいるよ!ハァハァ」


「俺の次にイケメンなそいつがお前の担当のクリスだ。
はい、自己紹介!」



「こんにちわ。
この度、永澤さんを担当させていただくことになりました、来栖 葵ークルス アオイーと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」


ニッコリと笑いながら、自己紹介をして丁寧なお辞儀をしてくれた。



「イケメン!イケメンで名前も声も素敵!無敵ー!!」



「クリス。このように永澤は頭が少々…いや、多いにおかしい。変態で変人だ。二人きりと夜道は気をつけるように。」



「来栖です。そうやって編集長が脅すので心配でしたが、大変可愛らしい方で安心しました。」



「可愛らしいって!キャハー!」


蕩けるような笑顔と素敵ボイスに思わずテンションが上がる。



「永澤。真に受けるな。社交辞令だ。
クリス、社交辞令にしても、可愛いはないだろ。お前コンタクト落としたんか?探してこい。」


セイちゃんが哀愁漂う目で来栖くんを見た。



「……裸眼で視力は良いですが。」



「嘘つきは閻魔様に舌抜かれるぞ。」



「さすが童話絵本部門に異動されるだけありますね。
『閻魔様に舌抜かれる』だなんて、数十年ぶりに聞きました。」



セイちゃんが赤くなりながら奇声を上げ、来栖くんはそれを見て爽やかに笑った。




【来栖くんは笑顔で毒を吐く。】

来栖メモに記載しておこう。

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