妄想LOVER

君が…

「…葵さん、大丈夫ですか?視力悪くなりました?今からなら眼科間に合いますよ?」


「編集長みたいなこと言わないでくださいよ。視力は大丈夫です。
香月さんは…可愛いです。」


「や、ヤメテー!恥ずかしい!そんなお世辞いらないから!」


「お世辞なんかじゃありません。ずっとずっと…可愛いらしいお方だと思ってました。
お顔も性格も…可愛いです。」


「…葵くん?」


「…香月さんがご自身に自信がないのは分かっていました。だから、信じて頂けないとも。
でも…そんな香月さんも、妄想して楽しそうな香月さんも…俺は大好きですよ。」


「…だ、だいすき?」


「あ、友人としてではありませんよ?一人の女性として香月さんが好きです。」


「…は?こんな私ですが?!」


「そんな香月さんだから、好きです。」



……葵くんが…私を好き?

戸惑いながら葵くんを見上げると、
葵くんは困った顔をしながらはにかんだ。



「すみません。困らせてしまいましたね。
こんなタイミングで言うつもりもなかったんですが…あまりに香月さんがご自分に自信がなさそうだったもので…ついムキになってしまいました…。」



すまなそうな顔をしながら葵くんは頭をさげた。



「軽率でした。本当にすみません。」


「ち…違うの!ビックリしただけなの!」



『このまま忘れてくれ』って言われそうな雰囲気に焦りを感じて、
思わず葵くんの腕を掴んだ。



私、なんでこんなに焦りを感じているんだろう?




葵くんは掴んだ手をゆっくり離しながら笑った。


「香月さんはお優しいですね。」


違う。


「俺が気まずくないように気を使ってくださって…本当に申し訳ないです。
担当者としても失格ですね…。」


違う…違うの。
私、勘違いされたくない。


……勘違い?なにを??



「もし俺のこと嫌になられたら…担当から外し…「違うよ!違う!そんなんじゃないの!」



もう一度、葵くんの腕を掴んだ。
今度は簡単に外されないように強く。



「葵くんが担当じゃなきゃ嫌だよ!側にいてくれなきゃ嫌だよ!」



葵くんが目を見開いた。


そんな顔もカッコイイな。なんて思う私は末期なのかもしれない。





あぁ…私、葵くんが好きなんだ。

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