二人のひみつ基地
ライブハウスへ
待ちに待った週末の土曜日。

いつもはした事のないメイクを三つ上の大学生の香織ねぇに施してもらい、髪もアップに結って、派手目のアクセサリーをジャラリと付けて、ライブハウスに行くのならと香織ねぇが頑張ったかいがあって、昔、あだ名になっていた金太郎のイメージは微塵もなくなり、私は結構、綺麗に化けた。

「沙織は私に顔が似ているからどう言う風に化粧をすれば良くなるかわかるんだけど……ここまで、綺麗に化けるとは思わなかったな」

まるで自分の作品のように鏡に映った私を見て香織ねぇが言う。



「化けた」

待ち合わせの駅前で私を見た四人が口を揃えてそう言った。

「うん、化けた」

愛子と原田亜美とその彼氏の渡辺和樹とその友達の橋本光哉。

ロック系のバンドのライブとあって男の子が飛びついて来た。

身長が163センチで体重50キロの私が髪をアップにして五センチヒールのパンプスを履いて、今は170センチ越えの大女だ。

一緒にいる男の子たちと同じ位の背の高さ。

150センチちょっとの愛子と亜美を和樹と光哉の二人と一緒に護衛しているように見える。
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