二人のひみつ基地
え?

え?

えー?

そう思いながらゆっくり歩き過ぎて愛子達が先に横断歩道を渡ってしまい赤信号で私と光哉が足止めを食らった。

私は光哉と手を繋いだまま信号待ちをすることになった。

赤くなった光哉を見ていると手を振り払う事も出来ず私はそのまま俯いていた。

「あのさ……俺……沙織が好きなんだけど」

光哉がそう言い出した。

私は恥ずかしくて俯いたまま光哉が見られなかった。

「付き合って……くれない?」

排気音と排気ガスを振りまきながら何台もの車が私たちの目の前を通り過ぎる。

日が傾いて辺りはオレンジ色に染まりつつまだ肌寒い風が吹き抜ける。

そんな事より今は取りあえず返事が必要だ。

「ごめん。今、驚いていて、何も考えられない」

「うん。多分沙織ならそう言うと思ってた。想像の範囲だから……気を使わなくていいよ。ちゃんとした返事は何時でもいいから」

光哉は私の返事を色々とシュミレーションしていたみたいで私の優柔不断の言葉に笑ってくれた。
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