二人のひみつ基地
光哉が今夜はエスコートさせてと言った。
だから、ライブハウスの前に来ても私とずっと手を繋いだままだった。
少し早目に着いた私達が一番乗りだったみたいでライブハウスはまだ開いていなかった。
暫くして入口のドアが黒服の店員によって開けられた。
私たちと同年代の子たちが何十人もライブハウスに入って行く中で私たちは愛子の為に陸君をずっと入口で待っていた。
「必ず来てねって、昨日念を押されたばかりなんだよ」
愛子はそう陸君に声を掛けられて大はしゃぎだったのに今の愛子は涙ぐんでいる。
あの孤高の王子様は愛子を裏切った?
それとも急用が出来て来られなくなった?
「携帯は?」
和樹が愛子に尋ねる。
「聞いてない。聞いてイヤな顔されるの怖かったから」
愛子は陸君に対してミーハーの域を超えもう好きの域へと入っていた。
「どうする?」
和樹が中の様子が気になるみたいで亜美と顔を見合わせる。
「もう、いい。中に入ろう」
膨れっ面の愛子がライブハウスの中に入って行った。