二人のひみつ基地
相沢伊織?
こう言うことか……
待っても来ないはずだ。
掠れた色気のある声はこんなステージで歌を歌っているからだ。
ハードな曲に負けないくらいの声を上げて、あの大人しい孤高の王子様は髪を少しだけ逆立ててまるで水を得た魚のように楽しそうに、自分の仲間たちの奏でる音の中で自分たちの音楽を表現していた。
そんな彼は抽象的な孤高の王子様ではなく、とても人間染みた骨格のきっちりとしたちゃんとした現実的な素敵な男の子だった。
ハードな曲が三曲ほど続いた後、陸君は額から汗を流してキラキラとした表情を浮かべて
「今夜は僕たちシークレットのファーストライブに来てくれて
本当にありがとうございます。知ってる人も多いと思いますけど
メンバー紹介をします。
ドラム……健也。中田健也です。
ギター……幸広。本橋幸広です
ベース……海人。坂口海人です。
そして、シークレット作曲担当
キーボード……伊織。相沢伊織です。
最後にボーカル担当僕……後藤陸です」
『キャー陸―!』
『陸―!』
『海人―!』
『健也―!』
『幸広―!』
『伊織―!!伊織―!!』