二人のひみつ基地
家まで送ると言った光哉に電車の本数が少なくて限られているからと断った。
私の自宅だけが反対方向だから仕方がない。
三人を乗せた電車に手を振って私は一人ホームに残された。
時計を見ると後十分しないと電車は来ない。
立ちっぱなしだった私はホームのベンチに腰掛けて大きなため息をついた。
かっこ良くなっていた伊織君。
私と同じ年で女の子や中には男の子もいるファン。
ちょっとしたアイドルになっていた。
ギターを弾く伊織君はとても楽しそうであの大人しい伊織君はもう私の思い出の中にしか存在しない
「「元彼女」」
伊織君は私を好きだったと今夜みんなの前で告白してくれた事になる。
そして私も
「「彼でした」」
と伊織君が好きだったと告白した。
たったあれだけの会話なのにあの子供の頃のほんわかした雰囲気が急に恋人同士というハートマークの世界に色付けされた。
恋人?
ああ言ったもののやっぱり私の中では伊織君は伊織君で彼氏では無い気がした。