二人のひみつ基地


「人気あるね」


「うーんそうなのかな?」


人ごとみたいにそっ気無くそう言う。


「愛子ちゃん?だっけ?」


「うん」


「陸の熱烈なファンみたいだね」


伊織君はずっと私の方を向いたまま話し掛けて来る。


「うーん。ファンって言うか……もうその域超えちゃってるかな」


「へぇー。陸って今は彼女ちょうどいないしな」


「脈ありそう?愛子は」


「あいつのお母さんって愛子ちゃんタイプなんだ。陸は優柔不断でお母さんに弱いんだ。だからお母さんには逆らえなくて俺たちと違う高校に進学してしまってさ」


「つまり愛子が押せば陸君もその気になるって事?」


「多分ね」


伊織君はそう言ってニッコリ笑った。


「伊織君もモテルじゃん」


「うん。何か知らないけどモテてる」


「伊織君……自分を知っているようで知らなさ過ぎだよ。凄くカッコイイよ」


「沙織ちゃんも可愛くなったよ。って言うか綺麗じゃん」


そう言って、大きな黒目勝ちの目で私を見つめて来た。


「今夜は……お姉ちゃんに遊ばれて……化粧してもらったから」


「それでも……俺……沙織ちゃんだって直ぐにわかったよ」


「金太郎っぽかった?」


「うん……金太郎っぽかった」


私は頬を膨らませて伊織君の腕にパンチした。



「イッテェー」



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