二人のひみつ基地
そして私たちは冬休みが間近に迫ったある日クリスマスパーティーの計画を立てた。

クリスマスイブにこのひみつ基地でケーキを食べてお互いが持ってきたプレゼントを交換する約束をした。

そう……

まるで……

テレビで見た事がある恋人同士みたいに二人切りでパーティーをする約束をしていた。

でも、その約束は叶わなかった。

私たちのひみつ基地が新婚カップルの貸家になったからだ。

知らないお兄さんとお姉さんがちょうどクリスマスイブからこのひみつ基地に住むんだとお母さんが言った。

急に結婚が決まって住む場所がなくて困っていた様子のその二人にひと月三万五千円で貸すのだと言った。

私も伊織君もとても残念がった。

パーティーが出来ないどころか二人で遊ぶ場所がなくなったからだ。

私は伊織君を自分の家に来ないかと誘った。

でも、伊織君はもう遊べないと言った。

伊織君は私立中学の入試を受けるからもう私とは遊べないと言った……

入試の為に勉強しなきゃいけないと伊織君は寂しそうに言った。
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