二人のひみつ基地
「そうだったの……」
亜美が肘で私を突っついて
「でも、沙織は光哉と付き合うんだもんね」
「えー。伊織君振って光哉と付き合うの?」
「振るって……伊織君とはそんなんじゃないし。光哉君との答えも出していないし」
「でも陸君があんなに必死な伊織君初めて見たって言ってたよ。何も言われなかったの?」
「うん。言われなかった」
私は平然として答えた。
単純に付き合ってくれと言われたら断っていただろう。
でも、あんな伊織君を見せつけられたらほっておけない。
もし、今直ぐ来てくれと電話があれば授業をさぼってでも駆けつけるつもりだ。
「ねぇ……森山さん」
振り向くと陸君が立っていた。
「何?」
チラリと愛子と亜美の方を向いて
「ちょっと……話しがしたいんだけど」
「話し?」
「伊織の事何だけど……ごめん、愛子ちゃんたち、ちょっと森山さん借りてっていいかな?」