二人のひみつ基地


「さ……沙織は自覚がなさ過ぎるんだよ。スタイルだっていいし、顔だって可愛いし、それなのに、自分で全然自覚が無くって……どんな男の子にも無防備に笑いかけるし、この間の夜だって……凄く綺麗だった」


親友だと思っていた愛子の言葉が信じられなかった。


「あの伊織君だって綺麗な大学生や大人っぽいOLのファンの人達を無視して沙織を追いかける位だもん。もっと自覚持って高ピーな態度とりなよ。もっと……性格の悪い女の子になってよ。だから……陸君はとらないで」


身体が震え出した。


「愛子はそんな風に私の事見てたんだ。私、そんな自覚なんて持てないよ。昔……容姿の事で苛められていたから……そんな自信は持てないよ。もう、誰にも苛められたくないから。出来るだけ笑って……嫌われないようにしてるだけ」


その言葉に愛子が顔を上げた。



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