二人のひみつ基地
「沙織……ごめん。私……沙織が嫌いな訳じゃないんだ。り、陸君と出会ってから私が可笑しくなったんだ。嘘付いたり……光哉をけし掛けて……自分を有利にしようとか考えたり。私が……狂い出したんだ。ミーハーしている時はそんな計画なんか立てる事すら考え付かなかったのに……。陸君の事になると自制が利かないの」
愛子は本当に陸君が好きなんだと思った。
今までの愛子じゃない。
二次元でも無いちゃんとした生身の陸君が本当に好きなんだ。
私は愛子の背中を摩りながら
「愛子……良かったね。そんなに好きな子ができて」
「ごめんね、沙織。もう、陸君に嫌われたから……諦めるよ」
そう言って愛子は大声を上げて泣き出した。
「無責任な言い方かもしれないけど、諦めるなんて愛子らしくないよ。伊織君がさ、陸は愛子ちゃんタイプに弱いって言ってたよ。それに……陸君が私ばかり気を掛けるって言ってたけど、伊織君とのことを忠告してくれただけだし」
愛子は顔上げて
「本当に伊織君がそんなこと言ってたの?」
「うん。言ってた」
「じゃあ……その言葉を信じて、もうちょっと陸君とのこと頑張ってみる」
「それでこそ愛子だよ」
愛子と二人、泣き顔のまま笑い合った。