二人のひみつ基地

人通りの少ない暗い夜道。

時折擦れ違う車のライトに気を付けながら颯爽と市道を走り抜けた。

途中で部活帰りの野球部の集団と擦れ違ったり
ウオーキングしている老夫婦と擦れ違ったり
久しぶりの夜の空気が気持ち良かった。

暫く市道を走り、国道に出て信号待ちをして横断歩道を渡る。

あのマンションまでもうすぐだ。

伊織君のいるひみつ基地が近づいてきて気が緩んだのか

なだらかな下り坂で、思いの外スピードが出てしまい

カーブでバランスを崩して

電柱にぶつかるか、そのまま自転車ごと倒れるか

一瞬の間に選択を迫られ私は目をつぶって自転車ごと倒れた。

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