二人のひみつ基地
「ちょうど良かったわ。今休憩?お昼はサンドイッチでいいわよね」
声がするほうを向くとステージ脇の奥にあるドアから中年の女性がトレイに大量のサンドイッチを乗せて入って来た。
「あっ、あれ、俺のお袋」
その女性をそう紹介したのはドラムの健也君だった。
「健也はこのライブハウスの息子なんだ。健也はこう見えてもドラムで本気でプロを目指してるんだ」
伊織君がそう話すと照れたように健也君が笑った。
「まぁね。誰より俺は環境に恵まれてるからね」
確かに自分の家がライブハウスを経営しているなら年中練習し放題だ。
「それはこのシークレットにもそのまま当てはまるけどね」
「普通高校生じゃこんなライブハウス借りられないもんな」
伊織君が健也君に頭を下げながらそう言う。