二人のひみつ基地
「沙織ちゃん……伊織とはいつもあんな風なの?」
「え?」
「サンドイッチ……食べさせ合いっこしてたじゃん」
そうだ……回りから見ればさっき伊織君としていた事は
確かに可笑しな行動だ……真澄ちゃんが真っ赤になったのもそのせいだ。
「あんな事、恋人同士でも人前ではあんまりしないよ。沙織ちゃん……もしかして、伊織の言う事なら何でも聞いてるの?一緒にお風呂に入ったり……泊まったり……伊織は大人しいようでも結局何でも支配しちゃうとこあるからさ。このバンドだって、伊織が支配しているようなもんだもん。沙織ちゃんも伊織に支配されてるの?」


そう言って陸君が後から抱きついてきた。


「僕さ……自分でもよく分からないんだけど……多分沙織ちゃんの事好きみたい。だから、沙織ちゃんを伊織に渡したくないんだ」


そう耳元で囁いて頬にキスをして来た。


「僕、伊織よりは女の子を大事に扱う自信があるよ。だから……沙織ちゃん考えといて」


そう言って私から離れて化粧室を出て行った。


陸君に……


告白された。


伊織君より先にちゃんと告白された。


陸君は……愛子じゃなくて私を選んだ。


少し……動揺している自分がいた。


陸君の儚気で優しい雰囲気は嫌いじゃない。


優しくわたしを包み込んでくれそう。
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