‡魔王‡
俺の頭の中は一瞬で何が何だか分からなくなった。
「……あなた様をお迎えに参りました」
青年は俺のすぐ目の前で深々とお辞儀をしていた。
「ちょっ…。ちょっと待て!俺が魔王?意味わかんねぇ事言うなよ…。冗談じゃないぜ」
俺はさっきコンビニで買ったパンを袋に入れ、学校方面へと歩き出した。
「お…お待ちください!」
青年は俺の腕を掴み、グイっと引っ張った。
その力は物凄い力だった。
「離せって…。さっきから訳わかんねぇ事言ってんじゃねぇよ。人違いじゃねぇのかよ」
俺は青年の手を振り払い、学校へと向かって走った。
青年は追いかけては来なかった。
きっと何かの間違いだろう。
俺はそう思い込んだ。