‡魔王‡
よく見ると、青年の瞳はカラーコンタクトを入れたような綺麗な赤色だった。
「さぁ、私と一緒に新しい世界を作りましょう」
新しい……世界?
青年は俺の手を掴み、そして屋上の塀を越えて飛び降りた。
「うわぁあぁ!」
俺は死ぬと思い、目を固く閉じた。
「魔王様。着きましたよ」
あの青年の声がした。
俺は恐る恐る目を開けた。
最初に目に入ったものは……。
赤い液体、血だった。
俺は声にならない悲鳴を上げた。