‡魔王‡
その時だった。
一瞬だけ…ほんの一瞬だけ、俺が人を殺しているところが頭の中をかけ走った。
「………!!!」
今のは俺か…!?
「魔王様、さぁお立ちください。お怪我はありませんか?」
「あ…あぁ。大丈夫…だ…」
俺は落ち着こうと深呼吸をした。
「サンキュー。……もう一度聞いていいか?」
青年は頷いた。
「俺は…魔王で、人間じゃないんだよな?」
「はい。その通りです」
「じゃあ…俺は…。人間の世界での俺の存在はどうなるんだ…?」
青年は少し考えた後に静かに答えた。
「人間界での存在は無くなります。つまり、魔王様の存在を知っている人間は誰一人いなくなるって事です」
俺の存在が…。
無くなる…!?
俺の…存在が!?