彼氏に一方通行
角度を変え、何度も何度も食むように重ねられるそれ。脳ミソが融けてしまうんじゃないだろうか、と思うほどに甘美で官能的。


やればできるじゃん、田所……っと。どうしてだか上から目線で思った。



そのままゆっくりと押し倒され、田所の下に組み敷かれ……。



けれど、不意に田所が唇の間に隙間を作って、甘美な営みは中断される。



パチッと目を見開いて、まじまじと間近にある田所の顔を見詰めた。やっぱり見とれるほどに綺麗……。


でも今は、そんなことどうでも良くて。

どうして? 何故、止めてしまうの?




「やっぱ、なんか――

今更……だな」




ポトン……。田所は平然とした顔で、残酷な言葉を私の上に落とした。


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