彼氏に一方通行




「高校最後の夏休みだと言うのにー! あの『ハゲドコロハゲト(田所悠斗)』は毎日毎日、家に籠ってゲームしてんですかぁー?」


喫茶店の一席に腰を落とすなり、ゴチッとテーブルの上に額を落として叫んだ。




あの後、「ハゲろ! 田所」といつもの捨てゼリフを吐き捨て、田所の部屋を飛び出した。そうして、絶賛デート中の綾子と照哉くんの元へ、無理矢理に乱入したのである。


すっごく迷惑でしょうね。でもそんなこと、知ったこっちゃあないんです。この胸のモヤモヤを爆発させる場所が、今の私には必要不可欠なんだから。



綾子は二年の時からの親友で、三年になった今も一緒のクラス。そして、照哉くんも田所の親友。三年になってクラスは離れてしまったけれど。


ついでに言うと、私と綾子は文系、照哉くんと田所は理系。学校では、お互いの教室は棟まで違うから、ほとんど顔を合わせることはない。


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