彼氏に一方通行

「瀬那(ｾﾅ)くんとは遊んでるみたいだけどね」


照哉くんのその言葉に、前傾姿勢のまま、ゆるりと顔だけ上げた。



「どういうこと？」

じっとりとねめつけるように、目の前の照哉くんを見上げて問う。



「ちょっとー、照くん！　この単細胞生物に、余計なこと吹き込まないでよ」

私の隣の綾子が慌てて口を挟むも、時、既に遅し。



「瀬那くんとは遊んで、彼女の私とは遊ばない。こんな理不尽なことが有ってたまるかー！」

八つ当たりだと自覚しつつも、照哉くんに不満をぶつけた。



「ままま、ほのかちゃんの気持ちもわかるけどさ……。瀬那くん、今、失恋のショックでちょっと凹んでるから」


「それぐらい知ってるよ。大好きだった彼女が引越しちゃったんでしょ？　だからって……」