彼氏に一方通行
「綾子の彼氏なんか、男じゃねーよ」

乱暴な口調で反発し、プイとそっぽを向いてやった。



「あらやだ。何? この子。急にやさぐれちゃって」


静かで落ち着いた口調。けれど、綾子の腹立ちは露骨に滲み出ていた。



「じゃあさ、こうしよ? 今度四人でプール行こ、プール。そんで、ほのかちゃんが悩殺水着で悠斗の性欲を刺激すればいいじゃん? それでも押し倒さなかったら、悠斗は男じゃないよね。ほのかちゃん、瀬那くんに乗り換えるべき」


照哉くんは、とてもとても嬉しそうに提案した。



ふむ……。なるほど。

私がビキニなんか着ちゃったりしたら、プールサイドで即刻押し倒されたりして? いや、有り得ない。絶対無い。


でも……。ちょっとは刺激になるかな。そんなちっちゃな可能性にも掛けたくなるほど、今の私は窮地に立たされている――気がする。


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