彼氏に一方通行
「ああ、ゴメン。ほのかに言うの忘れてた。ま、そういうことだから」

田所がちょっと慌てて、けれど何ら悪びれることなく言う。



「何が? どういうこと? なんで?」

「まぁ、いいじゃん。こういうのは人数多い方が楽しいし」

何でもないことのように言って、田所はヘラリと笑った。



どうしてよ? 瀬那くんなんか、いくらでも遊んでくれる女の子いるじゃん。邪魔くさいじゃん。田所を瀬那くんに奪われるじゃん。


『悩殺水着で田所の干からびた性欲に潤いを!』計画が、早くも脅かされてしまった。こんなのってあんまりだ。



「一緒に行くのはいんだけどさ、瀬那くんは一人で泳いでよ?」


キッと瀬那くんを睨み付け、厳しめの口調で念を押した。


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