彼氏に一方通行
私は田所の彼女として当然の主張をしたまでだ。なのに……。



「ほのか、ひっどー」

綾子から非難の声が飛んで来る。何でよ?


「いたっ、いたい……」

瀬那くんも、痛むらしい左胸を右手で押さえて顔を顰めた。何、その小芝居? ふざけんなよ。



「いいよ、瀬那くん。私たちと三人で泳ご?」

綾子が優しく誘うと、

「秋山さんは俺のこと邪魔みたいだけど、峰さん(綾子)たちは平気?」

瀬那くんが申し訳なさそうに、遠慮がちに尋ねる。



というか、『秋山さんは俺のこと邪魔みたいだけど』って余分じゃない? なんか、私が悪者みたいになっているし。

田所ぐらい私の味方してよ、と思うも彼は忽然と姿を消していた。


キョロキョロと辺りを見回せば、売店でアイスクリームを購入中。ソフトクリームみたいなやつです。本当に自由奔放、協調性皆無だから困ってしまう。


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