彼氏に一方通行
更衣室を出た所で男子と合流。



田所は水着姿も超絶男前。遠目に見ても惚れ惚れしてしまう。もうこれ以上惚れるなんて不可能だけど。

それに引き替え瀬那くんは……。いかにも女ウケしそうな水着だ、あざといよね、全く。君はその辺で頭の悪い女でも引っ掛けていなさい、と思う。



三人の方へと歩き進む私と綾子にいち早く気付いた田所が、私を一目見るなり目を伏せて何かボソリと呟いた。途端、両サイドに居た瀬那くんと照哉くんがプッと吹き出した。


まだ距離があって、田所の声は私たちの耳までは届かない。一体何を言ったんだ? 田所……。



「ごめん、待った?」

綾子が申し訳なさそうに言えば、照哉くんは「全然」と優しく微笑んで見せる。


「てめ、おせーよ。待たされ過ぎて腹減った」

田所は露骨に不機嫌な顔をして憎まれ口を叩く。何? この違い……。


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