彼氏に一方通行
「あのさ、愛しい彼女と密室で二人きりなのに、どうして田所は――あっ違った、ポンドくんはゲームに夢中? おかしいよね? 間違ってるよね? これは何かの間違いだよね?」


「密室じゃねーし、窓全開だし。つーか、俺のミッション・インポッシブルを軽々しく『ゲーム』とか呼ぶな」


視点はテレビ画面にロックオンしたまま、どうでもいいところだけを拾って返してきた。これもいつものこと。




私の彼、田所悠斗(ユウト)は冷たい……。




胡座をかいてフローリングの上に座っている田所の背後に、立て膝になって抱き付いた。そうして全体重を掛けて、ぐわんぐわんと前後に揺すってやる。


「インポッシブルじゃないよねー? どうせいつかは全クリすんだからさー、ポッシブルだよねー?」


私も負けじと、どうでもいいところだけ拾って返す。


< 3 / 59 >

この作品をシェア

pagetop