彼氏に一方通行
「あーもう、泣くなって。何なんだよ?」

田所が焦燥しきって言う。そんなのお構いなしに、両手で交互に頬を拭いながら、

「だって田所、最近全然私のこと構ってくれないし。エッチもしてくれないし。くびれがないからその気になれないのかなぁとか。私の身体に飽きたのかなぁとか。もう冷めたのかなぁとか。色々考えちゃって、不安で……。嫌いになんないでよ、田所。私ばっかりが好きでもいいから、嫌いになんないで」

積もり積もった想いを、何も考えずにただひたすら吐き出した。


ヒッ……ヒッ……と、しゃっくりが止まらなくなって、呼吸が苦しい。



私は――

普段素っ気なくても、冷たくても、ふとした時にさり気なく優しい田所が大好きで。だから、冷たくされることに不満があるわけじゃない。


不満なんじゃなくて、不安なんだ。

好き過ぎて、怖いんだ。



「確かに……そのくびれのないウエストは萎える」


田所の非情な言葉はグッサリと私の心に突き刺さった。酷いよ、泣きっ面にハチじゃない。


< 52 / 59 >

この作品をシェア

pagetop